人を斬ったあとに刀を鞘に収める時、刀を振りますが、これを「血振るい」といいます。
時代劇の殺陣のあとに俳優さんがやるやつです。
鍔を拳で打って血を落とす方法、刀を収めるときに指先や手ぬぐいで血を拭きつつ収める方法と流派ごとにあるそうです。
これを怠るというか、刀に血糊が残ったまま鞘に収めてしまうと、こびりついて刀が鞘から抜けなくなってしまいます。
人を斬ったことがある人などは、モグラの皮を使って刀にこびりついた人の脂を拭き取っていたそうです。
とはいえ人と人が斬り合うのですから、死に物狂いです。マンガで御前試合をテーマにしたものがありますが、あの原作を読んだときに、人と斬り合うのは死に物狂いだなと心の底から恐ろしかったのを覚えています。(マンガは絵がリアルすぎて読めませんでした)
合戦のときもそうですが、武蔵と小次郎の巌流島など実力が拮抗している者同士などは、瞬時のすきに乗じて相手を討つという感じで、それは日頃から武芸をやりこんでいなければできないことだと思います。
鍔迫り合いという言葉がありますが、実力が同じぐらいだとこの鍔迫り合いが激しくなります。要するに至近距離になってしまうわけで、お互いが相当なダメージを負うことになります。
剣術家が行うことのひとつに仏教の禅の修行があります。
たくあんで有名な沢庵和尚が禅法と剣法について記したものがあり、それを柳生宗矩に渡したのか、手紙に書いたのかわかりませんが、その教えがあってこそ、宗矩は柳生新陰流を創設したといわれています。
「不動智神妙録」というものですが、「あ、来るな」と思ったときには心が迷っている、何も考えず相手の動きに合わせることができたら、相手を斬ることができる、というものだそうです。
禅の修行を持ってしても「心が動かない」の域に達するのはかなりのことだと思います。